【完】金曜日は、八神くんのモノ





そのまま手を引かれて、校門を出る。
すると、八神くんが歩きながらあたしの方を見た。



「そういや先輩、もういいんですか?」

「?何が?」

「体育祭の準備」

「……誰から聞いたの?」

「新堂先輩ですけど」


そうか、新堂くん。
なるほど。だからこの2週間、1回も会いに来なかったわけね。

なんだ……。


でも、……なんで?複雑。


新堂くんへのふわふわした気持ちと、八神くんに対してのモヤモヤした気持ちがごっちゃになって、何か言いたいのに喉につかえて出てこない。


…また、あたしだけ、余裕がない。



「先輩」

八神くんがぎゅっと手を握って、あたしを呼ぶ。
顔を上げると、その顔がひどく切なげに見えて、余計に言葉が出なくなった。



「先輩、何組でした?」

「へっ、」



見間違い?そんなわけなかった。
けど。

今の八神くんは、いつもの八神くんだ。



「あ、赤組……」

若干の混乱を抱えつつこぼすと、彼の顔がパァっと輝く。



「ほんとですか?俺も赤組ですよ、一緒のチームですねっ!」

「そ、そうね…?」


何がそんなに嬉しいだろう。
そう考えて、ふと思い出す。


なんか、言った気がする。

同じチームなら応援がなんとか、って。



「応援はするけど、前面に出てとか、恥ずかしいことはしないよ…??」

「はい、全然いいです。
先輩に応援されてるってだけで頑張れるんで」


「……何言ってんの、バカ」



ほんと、バカだ。

こんなのいつものからかいなのに。



また、惑わされてるなんて。