「そういや八神くんって、やっぱりモテるんだね。毎日こんな感じなの?」


逸らした視線をスライドさせると、彼はええ、まぁ…と苦々しく笑う。
まあそりゃ大変だよね。想いを断るのって。

だって、笑顔な彼は飽きるほど見たけど、さっきみたいな顔は初めて見た。


…もうすぐ、半年なのに。



「….あ、でも、ちゃんと断ってますよ」

「へぇ、なんで?」


「え?
だから先輩のことが好きだからですって」


………っ!!!


しれっと告げる彼の顔を、思わず凝視する。

またこいつはこうやって……!!



「あたしのことからかって、楽しい??」

「ええ、すごく。」

「……」


そんな秒で答えなくてもいいじゃんか。

あたし、先輩なんだけど?
ねぇ?



チッ、と舌打ちをして頬を膨らませると、彼はまた面白そうに笑って、「帰りましょうか」とあの日の如く手を引く。




…おかしい、今日は割と涼しいはずなのに。
手が、頬が、


「…………熱い…」