中庭に着くと、そこには女の子なんていなくて、ただ八神くんが1人、ため息を吐いているところだった。
…もう、終わったってことなのかな。
あの様子だと、断った…??
って、なんでホッとしてるのあたし。八神くんが誰と付き合おうと、関係ないでしょ。
「モテモテなんだね、八神くん。」
「えっ、せ、先輩……っ?!な、なんで…!」
八神くんは、取り乱したように視線を泳がせてる。
そんなにやましいことでもないでしょーに。
「なんで、って、一緒に帰ろうと思ったら、中庭にいるって言われたから来ただけだけど。」
なんか悪い?と彼の鞄を渡すと、彼は何か言いたげに口を開いては閉じて、また開く。
「先輩が俺と一緒に帰るって自分から言うなんて、珍しいですね?」
「…別に。人に言われたから、帰るだけ」
ふい、と目をそらす。
八神くんが笑う。
やっぱり、いてもいなくても、厄介なやつ。



