全く、理彩ったら傲慢。
クラス教えてくれたのは感謝だけど、それでもやっぱり一年生の階に行って、男の子呼び出すのって相当な勇気がいるもんだよ??
それに、彼が有名人なのなら、尚更。
ブツブツと文句を垂れながら、階段を降りる。
でも、彼と話す機会をくれたのは、ありがたい。
なんとなく今、話したい気分だったし。
「八神くんって、いる?」
ひょこっとクラスを覗いて扉の近くにいた男の子に問うと、彼はひどくびっくりした顔をして、それから視線を彷徨わせる。
「えー、と、……綾人なら多分、中庭かと…」
「!…そう、ありがと」
あーー、なるほど、納得。
軽く頭を下げて、中庭へと急ぎ足。
…なんであたし、こんなに焦ってんだろ。
でも、なんか本当に八神くんってモテてたんだなーって思うと、ちょっとチクッとする。
八神くんはあたしのものでもなければ、あたしが好きなのは新堂くんなのに、なんて欲張りなあたし。



