「そ、そう…。じゃあ悪いけどあたし、先に帰るね?」
「ん!ばいばーい」
ひらひらと手を振る理彩に見送られて、教室の扉に手をかける。
そのタイミングで、ついさっき会話を終えた彼女から、ストップがかかった。
「あー!ごめん真琴待って待って!!
やっぱ一個だけ仕事任せていい?」
「別にいいけど…、」
まぁ、そうだよね。なんたって前日だし。
今日に限って頼られないなんて、少し違和感だったし。
めんどくさいのかな〜、なんて思いつつも、結局は理彩が頼ってくれたことが嬉しくて、承諾してしまう。
…それが、どんな内容かも聞かずに。
「じゃあ仕事ね。
今日、必ず常連くんと帰ること。いい?」
「……………
はい?!」
いや、さっきも思ったけど、なんで??
理彩はたまに突拍子も無いことを言いだすから、よくわからない。
目を丸くして振り返るあたしに、理彩は真剣な目で言う。
「真琴も2週間 常連くんと離れて、色々思うところとかあったんじゃないの?
もう帰ってる、なんてことはないだろうし、帰りながらにでも話すればいいよ。」
「……っ」