「えっ、俺ですか?
えーと…あ、あれです。借り物競争出ます。
あとリレー」
「そっか、八神くんもなんだ。
リレーって足速い人しか出られないのにすごいね」
暮れかけた日が照らす道を、2人で歩く。
………なんであたしはまたこいつと一緒に帰ってるんだろう。
本当は今日こそ新堂くんと帰るつもりだったのに。
いざ昇降口まで来てみれば、待ってるんだもん。
それに新堂くん、「どうせ俺は駅までだから送ってあげられないし」とか言って1人で帰っちゃうし。
………あたしは誰かに送って欲しくて一緒に帰ってるんじゃないのに。
「あれ、先輩運動得意でしたっけ」
「え?ううん。なんで??」
唐突にそんなことを訊く八神くんを振り向けば、
「え?だって先輩さっき、俺『も』リレーに出るって……」
って。
「あぁ、それはそうじゃなくて。
あのね、新堂くんもリレーに出るんだって。」
楽しみだよね〜っ、とついついニヤけてしまうあたしを見て、八神くんは眉根を寄せた。
…そんなヤバい顔だったかな、あたし。



