そう言ってゆり先生は貸し出しカードに印を押す。
あ、あたしの仕事……。
「皆川先生と八神くんはお知り合いなんですか?」
新堂くんが八神くんとゆり先生を交互に見た。
「知り合いっていうか……」
八神くんは渋って、それから、ゆり先生を見た。
「……?」
首を傾げると、八神くんは一瞬淀んでから、いつものように笑みを見せる。
「知り合いっていうか、何度か此処でお会いしたことがあるだけですよ。ね?先生?」
「そうねぇ。だって八神くん、いつも私が読みたい本の棚のところにいるんだもの」
「そう…なんですか」
のほほんと笑うゆり先生に小さく頷くと、八神くんは「じゃあ俺、そろそろ行きますね。あ、新堂先輩。抜け駆けはナシですからね??」なんて意味不明なことを言って図書室を出て行った。
抜け駆け…って、なんのことだろう。そもそも新堂くんと八神くんはそんなに仲良かった??あたし絡みで3人で喋ったことはあるけど…。
2人で話していたことって、あったっけ。



