「せっんぱーい!遊びに来ちゃいました♡」

「……八神くん…………」



あんたはあたしの彼女か!!!

それと図書室は遊びに来るところじゃないし!本読んで勉強するところだからね?わかってる?!


例の如く金曜日、八神くんがさながらあたしの彼女のように手を振りながら姿を見せた。



「…柊も、大変だね」

「はは…。お気遣いなく…」


わかる。わかるよ新堂くん。さすがにドン引くよね。

またいつもの本棚へ迷わず足を進める八神くんの背中を見ながら、ぼんやりと考える。



…ほんと彼、あんな本借りて何になるんだろう。


「2人とも、お仕事してる〜?…あら。八神くん」



カウンターの奥からひょこっと姿を現したのは、図書委員会の顧問である皆川 ゆり《Yuri Minagawa》先生。

普段からおっとりしてて、背まで伸びる茶髪ストレートはすごくサラサラしてる。
顔だって、童顔ってわけじゃないけど、可愛いし。
まぁ、滅多なことがない限りこっちに出てくることはないんだけど。


「あれ、皆川先生。お久しぶりです」

「そんな堅苦しい挨拶八神くんらしくないわ〜。
今日もその本?じゃあ印押しとくわね。貸し出し期間は1週間だからね〜」