ヘラリと告げる八神くんに、あたしは呆れてため息をつく。
「あのねぇ…。普通に考えてそんなの言うわけないでしょ。」
こいつにそんな話を好き好んでしていたら、それはもう末期だ。八神病重症者だわ。
ふいっと顔を逸らすと、八神くんは「えー、なんでですかー!?」と頬を膨らませる。
男子がその動作しても可愛くないよと言いたいけれど、なぜか愛らしく見えてただ無償に舌打ちがしたい。
「とにかく、あんたには話さないから」
すると彼は、突然泣き真似をしだした。…しかも、割と大きめの声。
「なんで先輩いっつも俺だけに教えてくれないんですかー!?不公平です!意地悪です…っ!俺はこんなに先輩に尽くしてるのに…!!」
「…っは…っ?!え、ちょ、」
一斉に集まる視線。
……ここは、デザートバイキング。
客なんてみんな、噂好きの女ばっかり。
そんでもってあたし達は多分、『彼女がわがままを言って甘いもの嫌いな彼氏を連れてきた先輩後輩カップル』に見えている。
……こ、こいつ…っ、全部計算済みで….!!
それに答えるように、八神くんの口角が一瞬上がったのを、あたしは見逃さなかった。



