【完】金曜日は、八神くんのモノ





「っだから…そういうこと気軽に言わないで」


触れられた手が熱を帯びる。

喉の奥が熱い。



…なにこれ。なんだこれ。

でもひとつ、確実に言えること。


『これは恋じゃない』



だって、新堂くんと一緒にいるときとは、全然違うもの。

一種の気の迷いにすぎないわ。



だってこいつは、従順なワンコのフリした猫。
きっと今だって、あたしをからかって楽しんでるんでしょ?


「……八神くん」
「はい?」

「あんた口説くの下手すぎ」


そっと手を抜き取って、またムースを一口。


……甘い。

八神くんはその言葉にパチパチと瞬きして、またへラリと笑った。


「やっぱりですかー?もっと上達しなきゃ」

…なにを上達させるんだ。


なんてツッコミを入れたくなる気持ちを抑えて、ムースの上にのった苺を口に入れる。


……あ、これ、ハズレ。


すごく…すっぱい。