いやいやいや、自惚れるな、あたし。
現にそれで目の前のこの男にうっかり騙されたばかりなのよ。
あたしはまだあの『好きですよ』って真剣な顔で言われたの、忘れられないんだからね。
そう自分に言い聞かせて正面を向くと、にっこりとした笑みを向けられる。
「ピンポーンッ!大正解ですよ、先輩。だから俺のぶんまでちゃんと食べてくださいね〜」
って、ちょっと待って?
「なんで八神くんは自分に不利益なだけなのにあたしをデートに誘ったわけ??
あたし今日のっててっきり八神くんの用事に付き合わされる感じなのかと……」
「えー先輩、歳上なのに鈍感ですね」
「はぁ?」
歳上なのに、って、そういうのって歳で決まるもんなの。
「てか鈍いってなに。あたしそこまで鈍感ではないと思うんだけど」
「え、先輩、それ本気で言ってます?」
どうやらゼリーすらも食べることを諦めてしまったらしい八神くんは、カチャリとスプーンを置いてあたしを凝視した。
「本気で言ってるけど」
「えー!先輩は鈍いですよ!だって自分に向けられる好意とか、全然わかってないでしょ?」
「……??いや、人並みにはわかってるつもりだけど……」



