【完】金曜日は、八神くんのモノ




なんなの、こいつ。やっぱりすごく苦手。

簡単に人の心を荒らしていくんだから。



「あー、えーとですね。デザートバイキングです。
モールの隣のケーキ屋で、今デザートバイキングやってるらしくて。先輩、甘いの苦手でした?」


「……っ、」



すぐに帰ろうと思ってたけど。


正直今のは、かなり揺れた。

こいつなんであたしが甘いもの好きなこと知ってるわけ?



「……別に。普通」

目をそらしてこぼすと、八神くんは嬉しそうに笑った。


「先輩ったら、素直じゃないですね」

「……うっさい」



ふいっと顔を背ける。

ホントなんなの、こいつ。余裕ぶってムカつく。



「…………歳下のくせに。」

「先輩今俺に喧嘩売りました??」


…心の中で呟いたと思ったのに、声に出ていたらしい。

おかげでこいつは「あー今の発言、傷ついちゃったなぁ〜好きで歳下なわけじゃないのにな〜」とわざとらしい演技をし始める。


あんたはこんくらいで傷つくようなタイプじゃないでしょ。
って言いたいけど、それを言ったらまたしょうもない演技に時間を使われるんだろう。


「…悪かったわよ。今の発言は撤回する…

「じゃあ俺とデザートバイキングに行きましょう!!
悪いことしたって思ってるんなら、付き合ってくれますよね?」


「……………チッ」




なんだこいつ、なんだこいつ、なんだこいつ!!!

超絶鬱陶しい!!!!!



けどここで首を横に振るなんてことしたら、もっと面倒なことになるのは確実。


「はぁ…しょうがない」
「やったー!ありがとうございますっ」


その尻尾をパタパタ振る勢いに、がっくりと肩を落とす。

ここは八神少年のワガママに付き合ってあげますか。