【完】金曜日は、八神くんのモノ





いやまぁね、『アイツ』のことなら勿論知ってるのよ?




八神 綾人。

成績優秀で運動神経も抜群な、完璧超人な1つ歳下の男の子。



おまけにサラサラな茶髪、仔犬を思わせるクリクリした目。

笑った時にチラリと覗く八重歯が、女子のキュンをさらに誘ったのかなんなのか…

彼は入学してすぐに、全校生徒に名を知られる有名人となったらしい。









ま、単純に言ってしまうと、女の子にモテモテってことだ。




でも、図書委員であるあたしからすれば、彼はちょっと…いや、かなりおかしい。


だって、あの人は毎週金曜日に何故かやってきて、しかも毎週同じ本を借りにくる。


そんなに何回も読める本なのかと思って一回読んだ事もあるけれど、なんて言うか、まぁ…一回で充分、って感じだったし。




あの本に執着する理由が、全くもって謎なのだ。







「柊もお疲れだなー」




すぐ横で聞こえた声に、あたしの正直な耳は、ピクリと反応する。




すぐ隣を見れば、眩しい笑顔に胸がキュンとして、あたしは本で顔を少し隠した。









「新堂くん……。…まあ、ね。」