いや、ちょっと待ってよ。


いつもは本は自腹って言って言ってたくせに。


「いっ、いいよ別に……!」

あたしの全力抗議をガン無視して手に乗せられたのは、諭吉おじさま。

………



諭吉おじさま?!!?!!!


それを見た瞬間、あたしの目はぽーんっと飛び出る。


待て待て待て。あまりにも当たり前に差し出されたから、野口さんかと思ってたんだけど?!



「いやちょっと!?お母さん?!!」

なんなのこの大金は…!たかが洋服で諭吉!??


慌ててお母さんを呼び止めると、振り返ったお母さんが、キラリと目を光らせて怪しく微笑む。



「明日帰ってきたら…お話、聞かせて頂戴ね?♡」

「ぐっ……。」




バレてる…。





はぁ…、しょうがない。

ここはありがたく、お言葉に甘えるとしましょう。