まさか「明日男の子とデートしに行くから服買おうと思って♡」なーんて、そんなこと言えるわけない。


普通に「服」でよくない?…いや、それで買って来た服が気合入ってたら、一発でバレる。母の感ほど恐ろしいものはないわ。


「……………………」




あまりにも沈黙が長すぎたせいで、お母さんがパタパタと玄関まで出て来てしまった。

やばい、残された時間が少ない!なんて答えるのが正解なの?!



「……ほ、」

「ほ?」


「本、を、買い、に………?」


あーー失敗したー!!!
なんで目逸らしちゃったの?!てかなんで最後に疑問符??!疑問符要らないでしょそこは!!歯切れ悪すぎだし!!!

もっと上手く嘘つけよあたし!!!




恐る恐る、お母さんの顔を見上げる。

あー……うん、やっぱりね。



予想通りのニヤニヤ顔で、お母さんはあたしの肩をポンと叩いて、

「お母さんもお金出すから、本たくさん買ってきなさい!」

ルンルンと歳に似合わない軽やかなステップと共にリビングに消えてら財布を持って再び登場した。