「はぁー…っ。もうほんと、バカなんじゃないの、あたし……」
無事に家に帰ったあたしは、制服を着替えることもせずにベッドにダイブする。
…まさか、あんなに簡単に八神くんの策略に引っかかるなんて。
自分で自分が信じられない。
八神くんに脅されて、焦ったから?
それにしたって、別の返し方とかもあったハズで。
「なんでもうちょっと頭回らなかったのー………」
ダイブした瞬間にベッド端に放り投げたスマホに、手を伸ばす。
スリープモードのスマホを起こすと、真っ先に目に入るのは、『明日、午前10時に駅前の時計前で待ち合わせにしましょう!』というメッセージアプリの通知。
「はぁ…」
嫌でも溜息が漏れる。……そうなんだよね。
あまりにも焦りに焦ったあたしは、あの時「連絡先渡すから!さっさと帰ろう!!!」とあろうことか自分から連絡先を渡してしまったんだ。
「はぁぁぁあーーー………」
本日1番大きな溜息をついて、「了解」と返信だけして枕に顔を突っ込む。
本当…理彩の言った通りだ。
メッセージアプリの友達の欄をどれだけ漁ったって新堂くんの名前は入っていないのに、八神くんの名前はあるなんて。