突然のことに驚いて、「ぅえ"っ」と声を漏らすあたしに、八神くんが苦笑する。
「先輩、そんな吐きそうな声出さないでくださいよー。軽く傷つく」
「えっ、いや、だって、ぇえ?
な、なんで手、繋ぐの、離してよ」
手に力を込めて振り払おうとすると、更にギュッと力が込められて、逃げることが出来なくなる。
「ちょっと…!」
なんなのこれ、恥ずかしい。
こんなの側から見たら恋人にしか見えな…
一度そう考えてしまうと、周りの目が気になって仕方ない。
新堂くんは??大丈夫、だよね?
キョロキョロと辺りを見回すあたしに、八神くんは微笑んだ。
「だって先輩、手を離したら俺から鞄奪って逃げちゃうじゃないですか?
それだと、送れなくなっちゃいます」
「いや別に今普通に明るいし送りなんかなくても大丈夫だしっていうかあたしのこと狙う人なんていないでしょあんたは別として」
一息で告げると、八神くんは明らかにむっとした表情になった。



