「笑わないよ。……多分。」
告げると、八神くんは口を尖らせる。
「…もう笑ってるじゃないですか。」
その言葉に驚いて、あたしは手を口元に当てる。
…本当だ。無意識か、怖いな自分。
図書室での八神くんは非常に面倒くさいのだけど、こういう『人の(主にあたしの)邪魔をしない八神くん』だと普通にかわいいから困る。
どうしても口角が上がってしまうんだよね。
「………よし、いける、大丈夫。」
精一杯の真顔を作ったあたしは、振り返って八神くんを見つめる。
「はい、どーぞ」
「えぇー……」
先を促すと、八神くんはまるで嘘やんとでも言いたげに顔をしかめる。
結局、彼は最後までかっこ悪りぃ〜…とぼやきながらも、答えてくれた。
「だって先輩、悩んでたじゃないですか…」
「……うんん??」
え、なに、あたしがアホなだけか?…全く意図が見えない。
首を傾げると、八神くんは、「えっ、違うんですか?!」と目を見開く。
「てっきり、梅しそかトマトクリームで悩んでるんだと思ってたんですけど……」



