*
それからいうもの、もう八神くんが金曜日に図書室に来ることはなくなって。
でも、その代わり……。
「真琴っ、一緒に帰ろう」
「ちょっと!そんなクラスの真ん中で名前で呼ばないでよ」
帰りのSHRが終わってすぐ、ひょこっと顔を出す八神くんに、慌てて鞄を持ってあたしも立ち上がる。
「いやぁ、なんか常連くん、いつにも増してワンコ度が上がった気がするんだけど」
気のせい?と首をかしげる理彩に、笑う。
「…でも、こうやって一緒に帰れるのは嬉しい………よ…?」
「自分で言って自分で照れなさんな」
ぽんと肩を叩かれて自分の頬を触ると、予想以上に熱くて笑えてしまう。
「じゃーねリア充末永く爆発しろ〜」
「不吉なこと言って去って行かないで!
…じゃあまた、月曜日!」
ひらひらと手を振って遠ざかっていく理彩を見送って、八神くんと2人、並ぶ。
「やった、リア充って言われましたね」
「爆発しろとも言われたけどね…」
顔を見合わせて、どちらからともなくふ、と笑う。
「じゃあ、俺達も帰りましょうか」
「そうだね」
そうして、あたし達は2人並んで校門を出た。