【完】金曜日は、八神くんのモノ



…なるほど、って。

頭がいい人みたいに気取って頷く八神くんに、笑みが漏れる。


パスタの話題一つでそんなに真剣な表情にならなくてもいいのに。


あたしが八神くんを笑ったことに気づいてしまったのか、彼はちょっと頬を膨らませて、目をそらした。



「俺、もちろんカルボナーラとかも好きなんですよ?…というか、今日もそれを食べようとも思ってたんですけど。」

「ふーん…?じゃあなんで梅しそ?」


八神くんの中でカルボナーラよりも梅しその方がランクが上だっていうのなら、別に構わないんだけど。

首を傾げて八神くんを見つめると、あたしの視線から逃げるように更に目をそらされる。




「「…………………………」」





なに、この妙な沈黙は。


気まずくなって、息をつこうとするより早く、ぽそりと八神くんが口を開いた。



「…だって、先輩笑いません?
というか、これをわざわざ言うのとか、かっこ悪りぃ………」



…目は、そらされたまま。だけど、ちょっと、頬が赤い。

ほんのり赤い八神くんを見つめながら、あたしはさっきの彼の言葉を思い出す。




『かっこ悪りぃ………』




……八神くんも、格好とか気にするのか。
こりゃあたまげたなぁ。