【完】金曜日は、八神くんのモノ




でも。


「それは…違います。
もし、あの時あたしを助けてくれていたのが八神くんだったとしても、あたしの初恋は誰がなんと言おうと、新堂くんだったから」


あたしが勘違いしていただけだとしても、あの時、あの瞬間、新堂くんに恋をしていたのは事実だから。


ゆり先生はまた驚いた顔をして、「そっかぁ」とだけこぼす。


「さて、そろそろ5限が終わる頃かな〜。どうする?真琴ちゃん。
先生ともう1時間ゆっくりのんびり話す〜?」

時計を見て、頬杖をつきながら視線をこちらに移すゆり先生に軽く首を振って、立ち上がる。


「いえ、もう行きます。…どうせ、今日は委員の仕事に出られないし。
先生、ありがとうございました。このノートも」


ぎゅっと胸に抱えて、振り向く。

先生は「ざんね〜ん、もっと真琴ちゃんが綾くんのこと好きになった経緯とか聞きたかったのに〜」なんて笑いながら、ひらひらと手を振る。


席立って、よかった…!!

内心ドキドキしながら、苦笑いで戸を引く。



あたしが出て行った後。


「あーあ、やっぱり若いっていいよなぁ〜。私も恋、しようかなぁ」


ため息と共に、静かな図書室にゆり先生の呟きが響いた。