あげるって…。
これは図書室の本なのでは???
疑問符を浮かべるあたしに、ゆり先生は「はい」と本を押し付けた。
渋々受け取って、中を数ページ、ペラペラとめくる。
「……な、こ、これって…」
「ふふ、びっくりしたでしょ〜。八神くん、『先輩に自分の口から聞くとサプライズ感がなくなって嫌だから〜』とか言ってね。
普通に口で聞いた方が早いのに〜」
あたしの好きな食べ物とか。趣味とか。
少し乱雑な文字で質問書きがあって、それに大人っぽい綺麗な字が答えてる。
…これ、ノート…だったの…??!
「全然…気づかなかった……」
前にあたしが読んだときは、ちゃんと本だったのに。
そこで、気がつく。
だから…2冊、あったのね。
「なかなか借りる人なんていなさそうな本だけど、万一借りられた時に困るからね〜。こうやって毎週金曜日のこの時間に、差し替えてるの」
「…なんで、そこまであいつのために……」



