【完】金曜日は、八神くんのモノ





それからの午前の授業はずっと上の空。

何言われるんだろう、とか、八神くんの真剣な顔ってレア度高いよね、とか。


また、彼のことばかり。

好きだよ。好き、なんだけど…。
新堂くんとゆり先生の顔が浮かんでは消えて行く。


……こんなんじゃ、告えないよ。



「……ーい、おーい、真琴ー??」
「はっ!」


突然背後から肩を叩かれて、ビクリと肩を揺らす。

少し眉を下げて「どうしたの、ぼーっとして」と尋ねてくる理彩に、あたしは慌てて辺りを見回す。



「…あれ?!授業は?!!」
「何言ってんの、さっき終わったじゃん。もしかして目開けたまま寝てたの?何、金魚なの??」
「……………」


そんなに怒涛のツッコミ入れなくてもいいと思うの。

「じゃあご飯食べよ〜、って、真琴は先約があるんだっけ」


そんな私の気持ちもつゆ知らずな理彩は笑って、それから朝の出来事を思い出したのか、がっくりと肩を落とす。


「…柊、今日は代々木さんとは食べないんだ」
「しっ、…新堂くん」

突如後ろから聞こえてきた声にビクリと跳ねそうな肩を抑える。


そういや朝、新堂くんは教室にはいなかったっけ。
もしかしたら、他クラスの仲良い男の子とかと喋ってたのかも。

振り返って、『どうして?』とでも言いたげな新堂くんに、なんて説明すればいいのか。


『八神くんと話があって』なんて、言ってもいいのかな。気にしたりとか……いや、自意識過剰かも。