多分、あたしが新堂くんのこと好きなままなら、全部上手くいってた。

けど。


「……だって好きなんだもんーー…」

ゔーー、と首を振ると、理彩が笑う。


「あはは、真琴の告白ゲット〜」

「もう何を言う気にもなれない……」


はぁー、とまたため息をこぼす。


「まぁ、とりあえずあれだよね。新堂くんのことは告白されてからにでも考えるとしてさ。常連くんをどうするかだよね〜」

「……………」


顔が曇るのが、自分でもよくわかる。

今日は、月曜日。
彼に会えるのは、まだ先だけど、…。


……正直言って、今は彼に会いたくない。

スカートのポケットに入れた携帯を、ぎゅっと握ると、それに気づいた理彩が目を細めた。


「ま、ヒロインは待つのが定石かもだけどさ?私的にはもっと積極的になってもいいと思うわけよ」

「…ヒロインって……」


そんなつもりじゃ……。


続けようとした言葉を遮って、理彩が「って言っても、これは真琴の問題だから真琴の好きにしたらいいと思うけど〜」とあっけらかんと笑ってみせて、それ以上は何も言えずに、口籠る。

きっとこれは、理彩のアドバイス。
彼女のアドバイスの通りにした方がいいんだろうなってことだって、わかってるけど、でも…。


『あの日の放課後、ゆり先生と何してたの。』なんて…訊けない。


もしそれで、2人の関係を肯定されてしまったら?
せっかく気づいたこの想いは、どこに行けばいいの。


……訊けないよ、そんなこと。


それなら何も知らずに、ずっと片想いのままでいたい。