目を伏せる。
本当に、新堂くんの言う通りだ。

申し訳なさと自分への苛立ちで、心臓が絞られるように痛む。


……あたしにとっては、折角の、念願の、新堂くんとのデートなのに。

数ヶ月前だったなら、この手だって舞い上がる気持ちでとれたのに。



ほんの数ヶ月。だけど、数ヶ月。

それだけの時間の間に、あたしは新堂くんよりも……。


「じゃあ、行こうか」

「うん」


少し空いた2人の影に、目を落とす。


彼の手をとれなかったのは…、彼の手をとらなかったのは、子供っぽくて恥ずかしかったからじゃない。


今日の上の空も、さっきのことだって。

全部、頭の片隅の彼が、邪魔をするからだ。