眉を八の字に寄せた新堂くんがそう訊くから、あたしは「まさか!」と首を振る。


「皆川先生から聞いたんでしょ?それなら全然問題ないよ!
それに、ほら、あたしには超ヘビー級のストーカーもいるし………」


ふ…と遠い目をするあたしの横で、新堂くんが「ああ…」と苦笑いを浮かべる。



「それで…どうする?
都合が悪いならお礼は別の日にでも…」

「お礼なんていいのに…!
でも、…うん、じゃあ、お言葉に甘えて」


このまま帰るのはなんだか悪い気がして、首を縦に振る。


新堂くんはまた微笑んで、すっと左手を差し出す。


「えっ、と…」

これは…
手を繋げ、ということでしょうか。


どうしよう。新堂くんと手…繋ぎたいかと訊かれれば、悩むけど…

でも……。


「新堂くん…あ、あたし、子供じゃないよ?」

悩んで、戸惑った末に出た答えは、これ。

彼は一瞬。一瞬だけ目を見開いて、またすぐ笑顔に戻る。


「ごめん、そうだよね。なんか今日の柊、上の空みたいだったから、案内してる間にはぐれないか心配になっちゃって」


「う、ご、ごめん………」