「なんとか買えてよかった……。ごめんね、新堂くん。今日は、色々」

「ううん。寧ろありがたかったよ。これなら紫も喜んでくれるんじゃないかな。」


小さな袋を鞄の中に入れて、新堂くんは微笑む。

そろそろお昼時。
本当はもう少しかかると思ってたけど、案外すぐ決まっちゃったなあ。


妹さんに買ったのは、薄い紫のバレッタと、白のシュシュ。

もっとオシャレなのも沢山あったけど、値段と可愛さを考えて、これになった。


「あ、そうだ柊。そろそろご飯食べに行かない?今日のお礼も兼ねて」

無理にとは言わないけど、と付け加えて、新堂くんはあたしを振り返る。


「え、でも……」

「俺、結構美味しいパフェある店知ってるし。柊、甘いの好きだよね?」

「えっ、なんで知ってるの??!」


パチパチと目を瞬かせると、新堂くんはふふ、と笑みをこぼす。


「皆川先生が言ってた」

「……」


あの先生……。人の個人データばら撒かないでよ。

八神くんのこともあって、思わず眉間に皺が寄る。



「あ、やっぱりちょっと気持ち悪いって思った?」