ヘアピンを棚に直して、ふぅ、とため息をつく。

ダメだって。
これは新堂くんとの買い物で、新堂くんの妹さんのプレゼントを選んでるのに。

可愛いと思った物を手に取ると、ふと浮かぶのは八神くんで。


八神くんのこと考えるなんて、ましてやあたしがそれを着ける妄想なんて以ての外なのに。

どうして??

彼とゆり先生のこと見たとき、『こんな奴なんて』って、思ったはずじゃない。


「柊??決まらないならここじゃなくても…。別の店も見てみようか」

「え?あ…うん。ごめんね、なんか」

「気にしないで。付き合ってもらってるのは俺の方なんだから」


品物を手に取る度に首を振るのは、別に商品が可愛いくないからとか、そういうわけじゃないんだけど。


あはは…と誤魔化し笑いをして、お店を出る。

………ごめんなさい、店員さん。
商品はとてもとても可愛かったです。

ただ、あたしの気持ちな問題なだけで。