「あっ、ここなんかいいかも」

ブンブンと首を振って頭の中から彼を消して、目に付いたアクセサリー店を指差す。


きっと妹さんのプレゼント選んでるうちに、彼のことなんて消せるわ。

そう思って、アクセサリー店に入って、ブレスレットやネックレス、ヘアアクセを眺めてみる。


「新堂くん、予算ってどれくらい?いくら誕プレって言ったって、あんまり高くっても駄目だよね」

「んーー…特に予算は決めてないけど、兄からのプレゼントで高いもの貰ったら重いかな……」

考え込んで手にしたイヤリングの値段を見て「え"っ」と驚いた声を上げた新堂くんは、そのままそっとイヤリングを戻す。


誕プレで、妹さん相手にイヤリングはどうなんだろう…と内心苦笑しつつ、あたしはあたしで桜のモチーフのヘアピンを手に取る。

あ、これ、結構可愛いかも。


そう思った時にふと脳内で再生されるのは、このピンをつけたあたしと……


『可愛いです、すごく似合ってますよ、先輩』



「〜〜〜〜〜!!!!!!!」

「柊?!」

思い切りブンブンと頭を振るあたしに新堂くんがギョッとした目を向けて、慌てて取り繕う。


……これは、やめておこう。うん。