「っごめん新堂くん…!待たせちゃったよね…!??」

「ううん、俺も今来たところだから、気にしないで」

あの金曜日から2日が過ぎて、今日は新堂くんと約束したデー……
妹さんのプレゼントを買いに行く日。

結局あの日から連絡は一切取らずに、彼に対するあたしのイライラも健在。

…なによ。八神くんなんて、ずっとゆり先生とイチャイチャしてればいいじゃない。
あたしの『好き』だって、きっと勘違いだったんだ。
ちょっと近づかれて、距離感に慣れなくて、ドキドキしただけ。

「柊?どうかした?」
「えっ?!」

不意に顔を上げると、近距離で新堂くんと目が合って、どきりと心臓が跳ねる。

び、びっくりした……!!


「な、なんでもないよ、大丈夫……!」

慌てて手を振って笑うと、新堂くんは心配そうな目で「…そう?」とあたしの顔を覗き込む。


「ほんとに大丈夫…!!いっ、妹さんの趣味とかわかる?」

パッと体を一歩ずらして、距離をとる。


急に近づかれると焦る…!!

………って、あれ?
これじゃまるで、あたしーーー…。


「柊?もしかして今日、具合悪い?」

再び黙り込んでしまったあたしに、新堂くんが振り返る。


「えっ、あっ、大丈夫…!妹さんの誕プレなにがいいかなって、ちょっと悩んじゃって」

曖昧に笑うと、「紫は多分、女の子っぽいものが欲しいんじゃないかな。もう中3だし…」
とお店を伺いつつ歩く。


…よかった、誤魔化せて。

ほっと胸をなでおろすと同時に押し寄せてくるのは、罪悪感。


あたし、最低。新堂くんとの買い物、ちゃんと付き合わなきゃいけないのに。


一体どうしたら、頭の中から八神くんを消せるんだろう。