「あーもー最悪…!」

忘れ物とか、したことなかったのに。


ぼーっとしてるからだ。うっかり、スケジュール帳を忘れてしまうなんて。

他の曜日なら「明日取りに来よう」で済むけど、金曜日は次の日図書室が開いていないから、当日取りに来るしかない。


面倒くさいなぁと思いつつ引き戸に手をかけると、すんなりと開いて思わず手を引っ込める。


「開いてる…なんで……」

この時間なら、ゆり先生はもう帰っているはず。
まさか施錠し忘れた…?あの先生なら、無い話でもないかもしれないし。

とりあえず、さっさと鍵閉めて帰ろう。
いつまでも鍵を返していないなんてことになったら、職員室の先生から小言をもらうのは確実だわ。


しょうがないなぁ、と軽くため息を吐いて、足を踏み入れる。
電気は…後で消すの面倒だし、このままでいいか。

なんとなく足音を立てるのを躊躇ってしまって、そろりと入り込む。


そのままカウンターまで進むと、案の定スケジュール帳がぽつんと置かれていた。

ほ、と安堵の息を漏らして急いで鞄の中にしまう。


もう大分暗いし…長居する必要もないから、さっさと鍵取ってこなくちゃ。

鍵を取ろうと普段ゆり先生が籠っている部屋へと足を向けると、



「……やぁだ…」

「……??」