「あーあ!残念っ!!」
とっ、と一歩、八神くんより前に出ると、怪訝な顔した彼と目が合った。
あたしはその目を逸らすことなく、ニヤ、と笑う。
「あたしは八神くんのこと、こんなに好きなのになぁ。」
「っ?!……え、…!?」
微笑むと、八神くんは目を見開いたまま固まっていた。
『鳩が豆鉄砲を食らう』って言葉が、これ以上ないくらいにピッタリな顔。
「えっ、あ、あの、せんぱ……っ
「なーんちゃってー」
仕返しっ!と笑うと、八神くんは2回ほど瞬きをして、「はぁぁ〜〜……」と脱力したようにその場にしゃがみ込んだ。
彼の驚きように、ドッキリを仕掛けたあたしの方が慌ててしまう。
「え、え、なんか、ごめんね?
軽い冗談のつもりだったんだけど。」
立てる?と手を差し出すと、ぎゅ、と握られて、何故か心臓がドキリと音を立てた。
…あれ。八神くんの手って、こんなに大っきくて、骨ばってるんだ。
なんか、顔かわいいし、性格だって犬っぽいし、勝手に弟みたいに思ってたけど…
そっか、うん、そうだよね。もう、高校生だし。
……ちゃんと、男の子の手だ。



