どうして、そのことを。

訊こうとして、ハッと気がつく。


…スケジュール帳、開けたまんま!!

慌てて閉じると、八神くんがあからさまに顔をしかめた。


「何?先輩。そんなに俺に見られたくない用事なんですか?」

「……っ、」

グイッと近づけられた顔に、心音が痛いくらいに響く。

どうしようかと彷徨わせた視線の先には新堂くんが不思議そうな顔でこちらを見ていて、思わずパッと背けてしまう。


それを見て、八神くんは「ふーん…」と目を細めて、あたしの耳元に口を寄せた。


「……!」

急に近づいた距離に、バクバクと心音が乱れる。


ち、近い…!!!

「先輩…もしかして、新堂先輩と何かありました?」

「っ…」


耳に直接響く声に、ドキドキと落ち着かない。


……もしここであたしが「新堂くんとデートする」って言ったら、キミは、どんな反応をする?

あたしのこと、ただからかっていただけ?
本当に、興味はなかった?