何が?

そう聞くよりも早く八神くんが微笑んで、本を抱え直した。



「皆川先生よりも、先輩の方がなんとなく安心します。
皆川先生って存在自体がレアだから、落ち着かなくて」


「……、」


……多分、彼にとっては何気ない言葉。
だけど…

どうしよう、胸がキュッと縮こまって、声が出ない。



なに、それ。
まるで、ゆり先生よりもあたしの方が良いって、言われてるみたいな……


なんて、そんなこと、あり得るはずもないんだけど。


「……はいはい、わかったから。
何度も言ってるけど図書室は基本私語厳禁だから借りたんならさっさと帰りなさい」


しっしっ、と手を動かす。

…なんて可愛げのない。


八神くんは拗ねたような声で、「ちぇー」と呟きつつ、背を向け……


ようとして、立ち止まった。




「あれ、先輩、明後日なんかあるんですか?」


「えっ」