………いや、まさか。
本を引き抜いて、思考を追い払うように首を振る。
仕事中にこんなこと考えるの、やめよう。
集中しなきゃ。
ふぅ、と息を吐いて、選んだ5冊を机に並べる。
一応季節とか考えたり、ジャンルもばらけさせてはみたけど…
あとで新堂くんにも、見てもらおう。
壁にかかった委員の出席表を取って、スケジュール帳に挟んだままのシャーペンを抜く。
そういえば、6限の先生の宿題の範囲 最後だけ聞き逃しちゃったから後で新堂くんに聞こうかな。
そう思った矢先に扉が開いて、
「ごめん柊…!ちょっと時間かかって…」
「あ、ううん、全然大丈夫…」
…というか。
「2人が一緒なんて、珍しいね」
新堂くんの後ろからヒラヒラと手を振る彼を一瞥する。
八神くんと新堂くんが一緒に来るなんて。
「ついさっき、そこで会いまして」
「そうなんだ?」
ニコニコと告げる八神くんに相槌を打ちつつ、視線を一瞬、カウンターの奥の部屋へと移す。
多分先生にも、八神くんの声が聞こえたはず。
でも…….
「今日は皆川先生、出て来ないんですね」
あたしが考えたのと丁度同じタイミングで声を被せてきた八神くんに、ちょっとだけムッとする。
……先生のこと、気にするんだ。



