【完】金曜日は、八神くんのモノ








あれからあっという間に1週間は過ぎて、金曜日。

先週の土曜日の放課後に新しい服も買いに行って、明後日の準備も万端。


妹さんの趣味とかは当日聞くとして……。

そんなことを思いながら図書室の扉を開けて、鞄をカウンターに下ろす。


と、また扉が開いて、新堂くんが「あれ、遅かった?」と焦ったようにあたしに駆け寄る。


「大丈夫だよ。あたしもついさっき着いたし」

「そう?それなら良かった。
そういえば今日って文芸部の新刊の日だよね。俺、取りに行ってくるよ」

「え?いいよ、そんな……」

「いいから」


柊は図書便りに載せる本選んどいてくれると助かる、と笑って、新堂くんはまた出て行った。


……なんか、申し訳ないな…。

ふぅ、と息を吐いて、本棚に向かう。


せめて新堂くんの言う通り、図書便りに載せる本くらいは、選んでおこう。



小説のコーナーに向かって、本を数刷取り出す。

多分みんな難しい本とかよりは、ファンタジーとか、恋愛とか、小説の方が好き…だよね。


考えて、ふと手を止める。


……….あいつは、難しい本の方が好きみたいだけど。

って、まただ。
あたし最近、八神くんのことばっかり。

先週だって、新堂くんといる時にも考えるとか…。


ーーーあれ?

でも、それじゃなんだか、あたしって新堂くんよりも……ーー