理彩はポテトと食べる手を止めて、次はハンバーガーの包みを開ける。
「彼、それ聞いたらすごく動揺すると思うなー!いいね、両手に花!」
「両手に花、って…それ、男の人が2人の女の人連れてるって意味だしあたし女だし」
「もう、真琴細かい!突っ込むべきはそこじゃないでしょ!!」
理彩が変なこと言うからでしょ。と言いたい気持ちをハンバーガーと一緒に飲み込んで、ジュースを手に取る。
「だって、新堂くんは別に他意があってあたしを誘ったんじゃないと思うし、八神くんは…あたしのことなんて、暇つぶしのおもちゃとしか思ってないだろうし」
「それいつまで言ってんの、そんなわけないでしょ」
「八神くんはあたしよりゆり先生の方が好きなんだから、関係ない」
不貞腐れてジュースを一気に3分の1程飲み干して言うと、理彩は呆れたように笑う。
「もー、いつまで引きずってんの?
あれはお題の所為かもしれないんだからそんなにしょぼくれなさんな」
「………」
別に、しょぼくれてる訳じゃ…
言い訳しようとしたけど、何故だか妙に納得してしまって、紡ぐ言葉も見つからずに黙り込む。
あーー…なんか、『好き』を自覚してから、色々なことに肯定的になってる気がする。



