「え、えーっと、じゃあ何時くらいにどこで待ち合わせようか？」
本棚の方に振り返って、本を押し込むと、「柊、本の向き反対だよ」とまた笑われる。
……あたし、動揺してるの、バレバレ。
「俺は割と何時でもいけるよ？柊の都合に合わせる」
「そ、そう？んー、じゃあ、10時に駅前でどうかな」
本を一度取り出して、向きを変えてまた押し込む。
本の整理が終わったらしい新堂くんはあたしが持つ本を半分自分の手に収めて、隣の本棚へと向かった。
…優しい。
きっと八神くんならヘラヘラ笑いながら見てるだけなんだろうなーなんて考えて、ハッとする。
今話してるのは新堂くんなのに、あたしってば……。
「了解。じゃあ、10時に、駅前で。」
「う、うん……」
隣で笑む彼に、曖昧に笑い返す。
さっきとは違う速度で、心臓がドクドクと鳴った。
