「あ、もしもし、水沢?」
『どうしたんだよ。』
「木嶋からさ、手紙が返ってきたんだ。」
『ほんとか!?』
「あぁ、それで…今朝野いる?」
『おう!』
『もしー!久しぶり!』
「久しぶり!木嶋から、結婚おめでとう。だって。」
『『いい奴〜』』
仲良くハモる二人。俺はちょっと笑った。
「それで、今から木嶋に会いに行こうって思って。」
『マジか!』
「まじ」
『じゃあさ、俺んちよってくんね?』
「え?おう。わかった。」

「久しぶりー、菜留に、渡してほしいものがあって。」
「おう、会えたら渡すよ。」
「お願いします!」
「赤ちゃん、もうそろそろか?」
「うん。」
朝野は幸せそうに笑った。

電車に乗る。
手紙の住所を頼りに歩いていく。
「暑……」
俺はひと休みすることにした。
「いらっしゃい。団子何がいい?」
「オススメとかありますか?」
「これかな。やっぱり、一番美味しいよ。」
そう言っておばさんが示したのは、みたらし団子だった。

「お茶どうぞ」
「ありがとうございます。」
みたらし団子は、すごく美味しかった。
「あら、いらっしゃい、」
入ってきたのは、少女……
「菜留ちゃん。」
俺は顔を上げた。

「!」
そこにいた人を見て、私は固まった。
でも、彼は優しくニコッと笑った。

「久しぶり!」
「ひ、 久しぶり…」
団子屋を出て、歩く二人は、パッと見て親子だ。
「会えてよかった。」
「どうしてここへ……?」
「朝野から、渡すもの頼まれて…って言うのは口実で、ただ会いたかっただけ。」
と言って、紙袋を渡された。
「真昼ちゃんから?」
「あぁ」
中に入っていたのは、手紙と、うさぎの手作りストラップだった。
「可愛い…」
「朝野はもうずくお母さんだよ。」
「そっか…」
「生まれたら会いに来てね、だってさ。」
私は泣きそうになった。
「水沢も、会いたいって言ったよ。」
私は、無言で頷いた。
「座る?」

公園のベンチに腰を下ろす。
成宮くんは、飲み物を渡してくれた。
「…手紙読んだ。」
「……」
「すっげぇ、嬉しかった。」
「……わ、私も……」
我慢しきれずに私は泣いた。
「伝えてよかった。後悔する所だった。あの手紙を書くのにも、結構勇気が必要だったんだぜ?なんてったって、……初のラブレターだからなぁ。」
「……私も同じ。……私も、ちゃんと伝えようって思った。」
「そっか。」
「……私、少しは大人っぽいかな。体は成長しなくても、歳は重ねるみたいでね…」
「うん。」
「成宮くんの隣にいても、違和感ないかなぁ…」
涙で言葉が震えた。
「ないよ。まったくない。」
「……ありがとう……ありがとう……」