なにか、言い争っているようにも聞こえるけれど……。
どうして先輩とお姉ちゃんが口論する必要があるの?
気になって、気づかれないくらいの場所まで近づき、聞き耳を立てる。
「あの子って言われても、女の子は、たくさんいるしなぁ」
「人でなし! 今日ここに呼びつけた、結城茉帆よ」
「結城……あぁ、そっか。茉帆ちゃんは、君の妹なんだ?」
「白々しい。知ってたんじゃないの?」
「まさか」
「でなきゃ、あなたが茉帆みたいな子を相手するとは思えない」
お姉ちゃん、それ、どういう意味?
「茉帆ちゃんに変なこと教えないでくれるかな、〝お姉ちゃん〟」
「は?」
「揉めば胸が大きくなるなんて」
「……っ、あんなのジョークよ。ちょっとからかっただけ」
そうだったの!?
かなり真に受けたよお姉ちゃん……!
「茉帆は、純粋な子なの。あなたみたいな男が、近付いていい子じゃないの。金輪際、妹に関わらないで」


