息がきれそうになるくらい走ったのは、いつぶりだろう。 なにかに本気で取り組んだのは、いつぶりだろう。 屋上に着いたわたしは、急いで紙袋から水色の衣装を取り出す。 広げる前から、異変には気づいた。 でも、勘違いであって欲しかった。 「なんで……、こんなこと……」 怒りがこみ上げてくると同時に、涙が溢れてきた。 アリスをモチーフにした、山内アキナの手作り衣装。 一生懸命作ってくれた、衣装が。 ズタズタに――引き裂かれていた。