「茉帆ちゃん、こんにちは」
ニッコリ微笑んでくれる、水上先輩。

「……こ、こんにちは」


お姉ちゃん、どうしてよ。

わたしには……先輩に会うなって言ったじゃん。

だからわたし、お姉ちゃんのために、先輩に会うのやめるって決めたのに。


「あ……紹介するね。わたしのお姉ちゃん」

柳くんに、お姉ちゃんを紹介する。

自分でもビックリするくらい落ち着いて話せていることに気づく。

頭の中は、真っ白なのに。


「……どうも」

柳くんは驚きの表情を浮かべているが、それ以上はなにも言わなかった。


「お姉ちゃん、この人はクラスメイトの柳くん」

お姉ちゃんが柳くんに会釈すると、柳くんも同じようにして返した。


先輩の手には――お姉ちゃんの傘。


お姉ちゃん、今まで、先輩の家にいたの?