結局雨は1時間後にやんだが、見始めた映画が面白く、見終えるまで柳くんのうちに居座ってしまった。


「長いことごめんね」

「気にすんな。また、いつでも来いよ」



エレベーターに乗り込み1階まで降りてくると、雨上がりのアスファルトがキラキラと輝きを放っている。


「さっきまで大雨だったのが嘘みたいに晴れてるね」

「あ……虹」

「どこどこ?」

「ほら、あそこ」


東の空に高くかかる虹が見えた。


「ほんとだ!」


虹見たの、何年ぶりかな。すっごい久しぶりな気がする。


「なんか、心が洗われるなー」

「おじさんくさいよ、柳くん」

「誰がおじさんだ」


柳くんに手を振ろうとしたのだけれど、「送るよ」と歩き始めた。


「ここでいいよ?」

「送らせて」

「まだ全然暗くないし……」

「わかんねーかな。……茉帆と少しでも一緒にいたいんだよ」

「!!」