「おかしいよね。でも、早起きして、わざわざ作ってきてくれたのかと思うと……面白いし、優しいなって思った」
「いや、キモくないか?」
すかさずツッコミを入れる柳くん。
「そんなことないよー。最初は躊躇したけど、ほんとに美味しかったし」
「〝男をつかむなら胃袋でつかめ〟……とは、いったものだが。まさか、茉帆が先輩に餌付けされたとは」
「先輩は別にわたしを餌でつってどうこうするとか……そんなんじゃなくて。誠意をもって、謝ってくれたんだよ?」
すると、柳くんがうつむいて、
「……普通、そこまでしねーだろ」
ボソッとなにかをつぶやいた。
それも、苦笑いして。
「なに?」
「別に。で、そんなとこに惹かれたのか」
「それがファーストインパクトかな」
それがなきゃ、先輩は、女の子にモテモテでマイペースでイジワルな人って印象のままだったと思う。
「同じなんじゃないかな」
「え?」
「先輩が弁当作ったのと。俺が、茉帆にプリント渡した目的」
――え?
「それって、どういう意味……」
「さぁ。それはお前が考えろ。先輩に塩を送る義理、俺にはねーし」
「え? 塩!? 打ちのめすみたいな?」
「アホか。それをいうなら、傷口に塩を塗るだろ。まぁ、俺は姑息な手を使ってでも水上先輩から茉帆を離すことには賛成だけど」


