もう、なにがなんだかわからない。

一刻もはやく、この場から、逃げ出したいーー。


自然と足が動いた。

お姉ちゃんに、背を向けた。


「茉帆……待って!」

「来ないで。ごめん。お姉ちゃんの顔、今は見たくないや」

「……!!」

「頭の中、整理したら……うちに帰るから。今は、放っておいて」


大好きなお姉ちゃんの。

見たくない部分を、見てしまった。


完璧な人間なんて、いないだろう。

それでも、お姉ちゃんには、もっと先輩の気持ちを考えて欲しかった。

先輩には、誠実でいて欲しかった。