ズカズカと教室に入ってきて、俺の目の前で大声を出した女がいた。

その光景にクラスのみんなは開いた口が塞がらない。


『何の事?』


巴も巴で頭にハテナを浮かべている。

頼むから俺を挟まないでくれ。


『体操服っ。私の勝手に取ったでしょ!?アンタのデカイんだからちゃんと見て取りなさいよ。あと、弁当忘れていくなって言ってるでしょーが』


言ってることがお母さんみたいな彼女の顔を見ると、鬼の形相をしていた。

その顔に思わず目を逸らしてしまう。



『知らねーよ。まず陽葵が先に分けねぇーからだろ?でも、弁当はありがとうございます助かりました』



この人は陽葵って言うのか。
てか、この2人はどういう関係なんだろうか。

しかも、最後。巴の一言にふっと声に出して笑ってしまった。



『………。次からはするなよ』



笑った俺を1度見てから彼女は出ていってしまった。
…やばっ。普通に怖かったわ。

教室の空気が微妙になった所で先生が入ってきた。この時、後ろで小さな舌打ちが聞こえてきたのは聞き間違いではないと思う。


次の休み時間、巴の周りは彼女との関係性についての話題で持ちきりだった。

“吾妻君の彼女?”

その質問に巴は双子なんだと答えた。
俺は前で双子だったのか…と盗み聞きをした。

“でも似てないよね”

この質問にも二卵生だからと笑顔で答えたんだと思う。後ろで会話してるからそれっぽい雰囲気で笑ってると感じた。

“なんかエロいよな”