高校3年生。
高3って進路とかあるし、一番大変な時期なんじゃないかなって思ってる。
でも、やっぱり恋愛はしたいなぁって思うんだよね、一応男だし。


「吾妻くんってかっこいいよねぇ」
「スポーツも出来るし、頭もいいしっ」


そうでしょうそうでしょう。


「付き合いたいよねぇ」


ありがとう。めっちゃ嬉しい。



「まぁ、でも彼女いるもんね」
「可愛いし、頭もいいし…まさに」
「「才色兼備っ」」


クラスの女子がウワサしているのをコッソリ聞き耳を立てて聞く。
こうやって言われるのは全く嫌じゃない。むしろ気持ちいい。



「美男美女カップルってあの2人のことをさすんだよねぇ」
「ねぇー」



あーやっぱり、こうやって褒められるのは最高だな。



「おい巴。イケメン崩れかけてる」



入学からの友人に両頬を下から掴まれる。



「何、嫉妬かい?諒平」
「なんでお前に嫉妬せなあかんねん」



相変わらず口が悪い。



「お前の彼女来てんぞ」



クイッと親指が動いた方を見てみると、この前半年を迎えた彼女が居た。俺は席を立ち、急いで彼女の元へ向かう。俺が駆け寄ると、周りから“キャー”とか“お似合い”だとかの声が聞こえる。



「どうした、凜」
「この前言ってた巴くんの家に行くの今日でもいい?」



少し躊躇いながら聞く凜に鼻血を噴き出しそうになる。



「一人暮らし始めたって言ってたよね」
「うん。今日、行けるよ。放課後迎えに行く」
「待ってる」



凜の頭を撫でると女子のうっとりした声が聞こえる。それに少し恥ずかしがりながらも、俺に手を振る凜は可愛かった。



「…まじキモイ」



諒平の元に戻ると冷たい目で見られた。



「現実でやっていいのイケメンだけだろ」
「ほら、俺イケメンだから」



なんて呟くと小さく“死ね”って返ってきた。

…ヒドいな。

色々あって、そこそこのマンションに一人暮らしをさせて貰ってる。そのマンションにようやく凜を呼べる。今日、いつにも増して楽しみだわ。