色あせた俺の世界。

……

「成宮、ちょっと来いよ。」
「なんだよ、水沢」

連れてこられたのは、アイスクリーム屋。
「は?なんでこんな所」
「俺が奢ってやるから、俺の話聞いてくれる?」
「は?」

「……」
「……まだ、落ち込んでんのか?」
「……」
「弱っちいやつ」
「……は?」
「お前の父さんが死んだ時、お前自分でなんて言ったか覚えてるか?」
「……」
「忘れない。けど、前に進まないといけない。って。」
「……」
昔の俺は、何故か強かった。それは、多分母さんを守らなきゃと思ってたからだと思う。
「…涙の海にずっと溺れてたら意味無いんだって、じたばたしてても前には進めないんだから、ちゃんと泳いでみねぇとって。……あん時のお前はどこいった?」
「俺は…」
「俺だって泣いたよ。お前の母ちゃんには、優しくしてもらってたからな。俺も、お前も、実は、すごく脆いんだよな。」
水沢は俺をしっかりと見つめる。
「俺は、お前の笑った顔の方が好きだ。お前は、元々無愛想だけど、すごく優しい。だから、何倍も傷つく。だから、俺はお前と友達でいて、その傷つく心を少しでも軽くしてやりたい。」
水沢は笑った。
変わらない笑顔で。
「……それじゃ、ダメか?」
「……かっこつけんな……」
俺は、かっこ悪く泣いた。
心にしみていく、『友』という、俺にはもったいないほど綺麗な色。

俺は、ひとりじゃない。
俺ばっかりが、苦しいわけじゃない。
確かに、親を失ったのは、きつい。
笑っていられなくなる。でも、
きっと手を指しそ述べてくれる奴がいる。
俺は、
そいつの手を取りたい。
……

そう、思う。