「おはよ…成宮…」
「あぁ」

情けない話だが、とてもじゃないが立ち直れない。

これで2人も失ったんだ。

そりゃ、病むさ。

これ以上、失いたくないと思うと、誰とも付き合わない方がいいんじゃないかって、そう思ってしまう。

「お、おはよ、成宮くん…」
「……おはよ」
木嶋が心配そうに俺をのぞきこんだ。
でも、「大丈夫?」とは聞いてこなかった。

屋上に行って、風に吹かれる。

このままじゃいけない。
けど、
なんだか、一気に疲れて……

どうでも良くなった。

「成宮くん」
「ん?」
まじかに木嶋の顔があった。
「わっ!い、いつの間に…」
「あ、ごめん…気持ちよさそうに寝てたから…」
俺は何も言わず起き上がった。
「あの…」
「……」
「無責任だとは、思うんだけど…じ、自分のことあまり責めないで。」
「……」
「成宮くんは、ひとりじゃないよ。」
「……何言ってるんだよ…」
「……あの、ネックレス。右翼と左翼で分かれてたでしょ。翼はね、その二つがないと、飛んでいけないんだよ。だから、」
「うるせぇよ!」
俺の声に、木嶋はビクッと俺を見た。
「もう、俺は翼があっても飛べねぇから。」
「え……」

また、ポストに手紙が届いていた。

「なんで…」

成宮くん

無神経な事言ってごめんなさい。
あなたを元気づけたかったけど、私なんかの言葉で、元気づけるってムリな話だよね。昨日少し仲良がよくなったからって…
ほんとに、ごめんなさい。

「……」
未来からの手紙じゃなかった。
今日のことを言ってるんだろう…たしか、彼女は、携帯を持っていなかった。…

だから、未来も手紙で…


私があなたに、色のない絵の具だとして、あなたと一緒に色を選びながら、少しずつ色を増やして、綺麗に明るくぬれるようになりたい。
……

「私は、また間違えちゃったかな…」