春が来た。
桜が、あたりをピンク色に染める。
それを見あげて、なんとなく思う。

……桜が泣いている、と。

綺麗なのに、すぐにちってしまう所は、私たち人間にそっくりなんじゃないかな。とか、そんなことを思っていると、

「菜留!」





俺だけじゃない。
周りの人達はみんな、色を持っている。
それは、青だったり、緑だったり、赤だったり、色々だ。

そして共通する色がある。

それは、





「羽陽くん」






誰かを好きになった時に、心の中に現れる色。それは、この桜とよく似ている。




そばにいたいとそう思った。
彼がいいというのなら、この先ずっと。
それを言うと彼は笑った。
「もちろん!」





「成宮!木嶋!」
「成宮ー!なっちゃん!」
「水沢くん、真昼ちゃん」




繋がり続ける。

彼女のことを知って、ほかと違うとしても

繋がり続ける。

だって、









「春だな…」
「……」
今は隣にいないその子を、









愛しているから。







その色は、







淡いピンクで、









優しい色で、







俺の心の中を色ずかせた、一番華やかな色。



FIN